歌謡曲にみる女性の心情 石川ひとみ『まちぶせ』

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 『手紙』を

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 で探していて、ふと石川ひとみさんの名前を見つけてしまいました。

 彼女の隠れファンがたくさんいることを知り、ついつい

 『まちぶせ』を10回も聴いてしまい、そのほかの映像も見ていて、深夜の2時過ぎになってしまいました。そこで、急遽女性の歌詞版を書いたのですが...
 グーグルの検査結果をコピペしたら、画像とリンクもペッタンしていまいました。
 クリックしてみると、ページにリンクしていますので、そのままにしておきます。

 
『まちぶせ』(作詞作曲:荒井由実)は女性の作詞ですので、前2作の男性作詞家の歌詞よりも、リアリティーがありますね。

『冬のリビエラ』も『手紙』も、男女の関係を歌った歌詞ですが、相手の雰囲気が希薄な感じがします。
その点、『まちぶせ』は、相手との距離感が近く、息づかいが聞こえてきそうな肉感さえ感じさせます。

 この違いはどこから来るのかと言いますと、男性作詞家の描いているものは相手の女性そのものではなく、相手に投影している理想の女性であり、荒井由美が描いているのは相手と自分との関係性そのものだから、なのだと思います。対幻想を描いている。

 つまり、松本隆の『冬のリビエラ』も、なかにし礼の『手紙』も、自分の内面を自己表出性の高い表現で描いているのに対し、荒井由美は指示表出性の高い表現で二人の男女の関係性を描いているということになります。

 これを文学的な用語で言いますと、前者はメタファーであり、荒井の歌は具象である、ということになるでしょう。『まちぶせ』は女性的な具体性を持っており、プロセスを重視する視点で描いている、ということです。


 「上手にかくした旅行鞄」も「外した指輪」も「酒の小瓶」も、その背後に多くの感情が象徴されています。

 「まちぶせ」にはそのようなメタファーはありません。唯一、象徴的に使っているのが「あなた」という言葉ですが、これが「歌のヒロイン=自分」が「愛しい男」を我がものとしている対幻想を表象しているのです。

 これは男には分からない感覚なのだと思いますが、女性の対幻想の特質に遠近法がない、つまり距離感がないところがあります。下世話な言い方になりますが、女性は知り合うといきなりなれなれしくなる、という特質があるようですね。

(古い映画ですが『青い山脈』の原節子さんが「先生」という言い方から「あなた」に一瞬で変わるシーンをご紹介しておきます。真ん中より少し前半、35%くらいのところにスライドバーを持ってくると、出てきます。) 

 知り合わなくとも、こころの中では「あなた」と呼ぶような心性を持っていますね。

 ところが、往々にして男は相手に距離を置いて接しているものです。この違いはものすごく大きいものがあります。このようなことを理屈っぽく言っても、女性は理解しないかもしれません。一つ例を挙げてみましょう。

 私の悪友(本当に悪い男ですが)に、自堕落で破滅型の男がいました。そんな男を好きになってしまった女性がいて、仲を取り持ったのですが...

 お嬢様で名門ミッションスクールから進学してきた彼女と、酒の空き瓶に埋もれるようにして生活を送っている彼とでは、うまく行くはずがありません。

 ある時三人で話をしている時、彼は彼女に向かって、「気に入らねえな、この女」と言ったのです。
 彼女が、飲み過ぎているからもうやめたら、と女房気取りで言ったのかと思います。

 私はこいつほど無頼派ではないので、そのような言い方は絶対にしませんが、そのような一歩引いた感覚はよく分かります。しかし...

 彼女はものすごいショックを受けたようです。「あなた」と思っている人から、「この女」と言われたのですから。

 荒井由美はこの女性感覚を表現している、ということでしょう。順風の時は良いのですが逆風の時には一挙に二人の間に潜んでいた暗い深淵が見えてくるのです。

 昔、よくあったエピソードで、彼女が編んでくれた手袋をうれしがって手にはめたりしたら、もう逃げられないぞ、という怖い童話がありました。怨念に絡め取られたということですね。「息づかいが聞こえてくるような肉感」といったのは、そのような感覚のことです。



(本来ですと、ここで三角関係あるいは二股愛?の問題を論じたいところですが、息抜きの読み物ページのつもりですので、またの機会にしたいと思います。)

 表現としてみると、『まちぶせ』はありふれたレベルのものですが、石川ひとみさんが歌ったことで、命が吹き込まれたという要素も大きいかと思います。

 動画の黄色いドレスは、今でも目に焼き付いていますね。黄色いチューリップの妖精のような彼女が、野外舞台の袖で出番を待ちながら、客席の方をきょろきょろ見ている仕草がかわいらしかったです。

 
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