逆立ちした「自己投影」

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 以前に取り上げました「学校教育と男女交際」についての、新たな展開がありましたので、少し考えてみたいと思います。
 女生徒の過剰な妄想はどこから来たのか?ということの一端が、図らずも明らかになったようです。
 二人は事件後、双方の親が相手との付き合いをやめさせたということもあり、卒業後は別々の道に進み、以後はそれぞれ別の人と付き合っています。

 彼女は中学時代の部活の先輩でありコーチをしていた男性と付き合い、ある「一夏の経験」を話したという。
 それは息子と彼女との「小さな諍い」の前に起こったものです。

 同じ部活であった二人は、他の部員とともに顧問の先生に引率されて、東京世田谷のグラウンドで開催された関東ブロック大会に出かけました。
 息子は県大会の成績から出場資格を得てのエントリーです。
 彼女は出場資格はなく、臨時のマネージャー役を顧問の先生に指名されての同行ということでした。

 大会は二日間行われ、選手は競技終了後帰宅したのですが、顧問の先生は現地のホテルに宿泊。
 マネージャー役の彼女はその夜、顧問の先生に酒の相手をさせられたあげくレイプされたという。
 この先生は、息子にも学校関係者にも口外しないように口止めをしたようだ。最初からそのつもりで、彼女をマネージャー役に指名したのだと、あとで分かったのだ。

 この事件を知った中学校のテニス部コーチは憤慨して、高校に抗議をしたところ、校長も当の先生も事件のもみ消しを図り、息子のところにも電話とメールで一切口外しないように口止め工作をしてきた。

 息子の問題で学校と話し合って、教育理念などあって無きがごとしであることを痛感していましたので、告訴をして裁判に訴えない限り口をぬぐってしまう人たちであることは明白です。

 事実、彼女が傷つくだけですので、裁判にもならず、レイプ犯の教師も注意処分だけでうやむやにされてしまいました。
 名ばかりの教師たちを、まともに相手にするのは徒労ばかりですから、あえて追求はしません。


 ここで取り上げたいのは、その後の彼女の情緒不安定の問題ですね。
 彼女はひとりで悩んでいたのでしょう。

 本来は、母親に相談できれば良いのですが、それができにくい親子関係だったかと思われます。
 かといって、学校関係者に打ち明けようにも、校長以下自分たちの体面を守ることしか考えないような人たちばかり。

 息子にも打ち明けられないし、打ち明けたならば終わりになってしまうだろうという畏れがある。

 彼女には責任のない事件だけれども、大きな負い目を感じて悩んだようです。
 その思いがどうなったのかというと、息子のちょっと不注意な行動を徹底的に咎めることで、自分と同じような精神的負い目を負わせ「あんたも私も同じだ」という立場に引きずり下ろそうとしたのではないかと思う。

 これは悪い意味での自己投影の一種ではないだろうか?
 本来の自己投影というのは、片想いなどに見られるような、自分の理想像を相手に被せることで実態以上のすばらしい虚像を相手だと思う意識のあり方です。
 けれども、マイナスの自己投影もあり、本来は自分が持っている自己嫌悪しているものを相手のどこかに見いだして、それを相手の全人格であるかのように敷延して、その相手を非難したり嫌悪したりする。

 あえて区別するために、このマイナスの自己投影を「逆立ちした自己投影」ということもあります。

 彼女は、自分の負い目と同じ要素を息子の軽率な行動に投影して、「一生、この事(侮辱行為)を許さない!」と、人生の一大事のごとく咎めることで、自分の負い目の世界に引きずりこもうとしたのではないかと思う。


 このような行動は、ほとんど自分で意識しないでなされることがあり、女性性のものの考え方の特徴ではないかなと私は感じる。男でも、内省的でない幼児性の強いひとにこの傾向が見て取れます。

 私の経験でも、いわれのない、あるいはささいなことに目くじらをたてて針小棒大な非難を受けたりすることがありますが、十中八九は「あんたに言われたくない」というものだ。
 つまり、そう言う本人がまさにその通りの人間なのに、自分のことを全く棚に上げて他者を非難する。

 想像するに、自分が他のひとから指弾されている事柄を、別のひとにすり替えることによって、傷だらけになった自尊心や自信を回復しようという補償行為の一種なのかと思う。

 常識で、あるいは冷静に考えればたいしたことがないはずのことに、ことさら拘泥して、異常に咎める...
 他者には妄想としか思えないことの背後に、このような逆立ちした自己投影などが潜んでいた、ということになる。

 まっとうな人間ならば、その理不尽さに腹を立てるだろう。
 ささいなことを針小棒大に敷延して、全人格を否定するような対応をされたならば...。

 

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